第14章 その名を呼ぶ創始者
目の前に倒れている女性。
その向こうに少年。
辺りを見渡すと数人の人が倒れている。
人数は俺を入れて5人といったところだろうか。
全員俺と同様に、寝ているのではなく倒れている。
何かが始まるかのように、一斉に点灯した薄暗い蛍光灯は、俺たち5人を照らしている。
「あの、皆さん…起きられますか……?」
首が引き締まったように出しにくい声で、倒れている人達に呼びかける。
すると、徐々に4人の中で3人だけが目を覚まし、起き上がった。
「…ってぇ、…何があったんだ…?」
「ちっ…。制服汚れたじゃないのよ。」
「う…、寒い…!」
起き上がった3人は知り合いではなかった。
しかし、1人だけ全く起きる様子が見えない。
俺は手助けをするため、重い身体を持ち上げて近寄った。
「ねえ、君、大丈夫?…起きれる…?」
倒れているのは、野球の練習着を着た少年だった。
声をかけても、揺さぶっても、「うっ…」と唸るだけで、他には何も発しない。
すると、先ほど起きた男性が上半身を起こしてみてはどうかと提案したので、少々強引ではあるが、少年を無理やり起こしてみた。