第14章 その名を呼ぶ創始者
黒い。目の前が黒い。
身体が痺れている。ダルい。重い。
動くことがとても困難だった。
何があったのか、考えることさえできないくらい思考が停止していた。
歌川みさきは、自分が体験したことのない感覚のせいで自分の瞳から一粒の涙が流れたことにも気がつかなかった。
ヒヤリとした温度が背中に伝わってくる。
そのおかげで、ようやく自分が倒れていることに気がついた。
視界が暗いのは、マブタを閉じているからだった。
重い瞼を開け、未だジリジリする体に力を込め精一杯上半身を起こした。
頭痛がする。
目を覚ましたのは全く見覚えのない、広い空間だった。
いや、屋根はある。壁も恐らく近くにあるだろう。
ここはどこかの部屋だ。倉庫のような居心地の悪さだ。
(…俺、何で寝てたんだろう…。)
真っ暗な辺りを目を凝らして見てみても、何もわからない。俺はなんとかこの状況を把握するため、立ち上がった。
(そうだ、俺…山吹くんと一緒に……。あれ、一緒に何してたっけな…。)
ビリリと指先が痺れた。
ーピカッ
(何だ…!?)