第13章 集結プロファイル
「「あ…/え…?」」
扉の前には三人の人物が座って昼食をとっていた。
見たことがあるような、ないような、ただ知らない人たちだ。
「ご一緒…する?」
五人の間に少し沈黙はあったものの、一緒に昼食をとろうとそこに座っていた髪の長い女性が問いかけてくれた。
履いている上靴は青色。もう一人の男性も青色で、髪をくくった男性が緑色。
青の上靴は二年生。緑は三年生なので、要するに三人の先客は俺たちの先輩にあたる。
「ご…ご一緒……?い!?いや、大丈夫です!!お食事中失礼しましたっ!!」
さすが運動部の山吹は謝罪に…、いや、先輩の対応に慣れてるな。
そのとたん、山吹が踵を返して階段を下りようとした。
きっちり頭を下げて屋上を後にしようとした山吹の行動に理解が出来なかった俺は、少し立ち止まってから山吹を追いかけた。
「…っはぁ。予想外だったなぁ…。まさか先客がいるとは。」
一階まで再び戻ってきた俺たちは、廊下に設置されたベンチに座り、昼食をとることにした。
「先輩だったし、一緒に食べるのは気が引けたよね…。」
山吹はうんうんと頷いたあと、勢いよく白飯を口にかけ込んでいった。
「絶対、会話聞かれてたよな。あー、なんてバカなことしたんだ俺は…!!スマホ持ってるとこ見られたし、風紀委員だったら即報告だろーなぁ…。」
「結果、屋上には行けなかったけど、俺、山吹くんがいてくれて本当に助かった!」
口の中が白飯でいっぱいの山吹は、それをゴクンっと飲み込んで「なんで?」と言った。
「だって、あの先輩たちと会った瞬間、俺固まっちゃったからね!?ビックリだよ。足が動かないんだ。」
「まあ、滅多にないような危機だったよな!まさに蛇に睨まれた蛙!!…んで?」
「"ご一緒する?"なんて聞かれたとき、何言って良いか分かんなかった!!でもそのとき山吹くんがちゃんと返事してくれたから、今があるんだもんね。」
「今がある…なんて、大袈裟だなぁ…(笑)あんなの運動部入ってりゃ、すぐ対応できっぞ?部活じゃ日常茶飯事だしぃ。」
「それだからさ。尊敬した。ありがとう。」
俺がそう言うと、目を丸くして箸に持っていたウインナーをポロッと弁当箱に落とした。