第12章 感情ミートアゲイン
「なんだよ。結局、勇希雄も俺に会いたくて会いたくて震えてたんじゃんか。」
「い、今も…震えてる!
春イケメン!!抱いて!!!」
これは冗談ではない。本気だ。本気で春に抱かれたい。
(という冗談を言ってみたよっ!テヘペロッ☆)
春の見た目はクールで賢そうだが、実は温厚で誠実なひとだ。
人前で感情を露わにすることをあまり好んではいないが、このように冗談を言う春は珍しくはない。
会いたくて会いたくて震える。ほぼネタになっているこの単語。
笑うしかない。
ぐぅぅぅう…。
嗚呼、腹が…
鳴った………。
恥ずかしいので、顔を隠すため春に抱きついたままでいると脇を思い切りくすぐられた。
「あぁっはははは!!やややっ!やめって!ふぅっ!?ひぃはははっ!!」
俺は脇が弱いので叫びに近い笑い声を上げた。
なかなかやめようとしない春の肩をばんばん叩いた。
すると春は俺の背中を摘んで、俺を自分から引き剥がした。
「話は飯食った後だ!!琉架の飯、感謝して食っとけよ。」
「うん。そのつもり!」
二人は客間を後にしてリビングに向かった。
スライド式のドアを開けてリビングに入ると、
琉架がキッチンで丁度勇希雄に食べさせる米を注いでいた。時雨は僕たちの話が終わるのをジッと待っていたかのように、ドアの方を見つめていた。
おかげでドアを開けた瞬間に時雨と目が合いギョッとした。
「ひ、久しぶり…。勇希雄。俺たちも会うの二年ぶりだよな…。」
駆け寄ってきた時雨も久しぶりに会う。
買い物帰りの琉架には何度か街で会ったことがあるが、時雨にはなかなか会わなかった。
僕と時雨は、昔から少し相性がよくないのだ。
「うん、久しぶり!時雨も背が伸びてるねー!僕もうちょっとで抜かされるかも。」
「…石依。飯ってまだ残ってるか?」
「もちろん、あるよ!勇希雄、運んで!」
「あ、うん。ありがとうね。迷惑かけちゃってごめん。」
「いいよ、おもてなしだと思って…?二年ぶりに4人揃えたんだから。」
琉架の言葉にまた少し目の奥が熱くなった。
(僕…今日こんなに泣いちゃったら、これから涙出ないんじゃないの…。)
今日の僕は、きっと一生分と言って良いほど泣いている。
怖ぇ…。