第12章 感情ミートアゲイン
客間に入り、僕と春は向かい合わせのソファーに座った。
「悪いけど、菓子食うのは話が終わってからでいいか?」
「…あのーさ、…俺、今日朝飯食べてないんだー…。」
「……はぁ??」
春は前屈みになり、肩を落とした。
明らかに呆れた表情をしている。
琉架から、今日俺がここに来る理由を聞いていなかったのだろうか。
「いや、だからね。今日ここに来たのは朝飯を貰いに、でしてね…。」
顔を背けながらも、チラリとと目を動かして春をみると、一つため息を漏らした。
「でも!会いに来ようとは思ってたよ!?ちょっといろいろあって、来るタイミングを見失っててさ…!」
春はいまだ顔を曇らせている。
「今日ここに朝飯目的で来ちゃったら、"そのついで"っていう理由で春と会ってしまうって思った!
最初は考えてなかったけどね?後々考えたらそうなるって、申し訳ないかもって…!
でもさ!いざってなると二年ぶりに会うのスッゴい恥ずかしいなとか…ね。あ、はは…。」
再び春をチラリと見ると春は俺をガン見していた。
(うっわぁぁ…。こっちめっちゃ見てんじゃん…!!怒って…無いことを祈ろうかな…。)
「は、春なら、俺が押し掛けなくても『勇希雄は照れてんのかな』って思うかも!とか考えちゃってさ…!
ほら、春は俺のこと分かってくれてるから…。」
そこまで言い終わると、春はテーブルに片手をついて俺の頭をクシャリと触った。
「そう思ってたよ。勇希雄の思ってた通りにな。勇希雄は緊張しやすいから。」
今俺は俯いているので春の表情を窺うことはできないが、きっと笑ってくれている。
やっぱり、春は俺のことを分かってくれている。
「俺は勇希雄がどんな目的で来てくれても、勇希雄に会えるだけで嬉しいんだ。」
そう言うと春は、一息をいれて言葉を紡いだ。
「久しぶりに会えたな、勇希雄。」
気が付くと俺はニコリと笑った春に抱きついていた。