第11章 再会イモーション
《3年前の春休み》
その日は晴天で風もなく暖かかった。
僕たちは初宮中学校の先生達に高校の合格を報告しに行った。
「へぇー!!みんな良かったねー!高校まで一緒になっちゃてー!」
職員室に真っ直ぐ向かうと運良く3年の時に担任だったママチ先生、通称マッチ先生に会うことができた。
5人全員が琴野高校に合格したことを知らせると、ママチ先生は大いに喜んでくれた。
「受験のとき緊張したでしょー。うちの娘もね、今は大学生だけど高校受験が一番緊張するって言ってるし。」
「緊張とかレベルじゃ無いんスよ!なんかこぅ…体の底から湧き上がる嗚咽感?というか、嘔吐感?」
「それ緊張してるからなるんでしよ(笑)」
「勇希雄は前日から下痢して、当日もギリギリまで便所行ってたんですよ。」
「あー!もう言わないでよなー!!僕だって大変だったんだから!!」
「めったに無いことじゃないから平気だよ、勇希雄くん。」
「そうそう、私もそうだったよ勇希雄!」
「「「「え!?鳴未も!?」」」」
「嘘だったかも…(笑)」
大体の話が終わり職員室から出て、後輩達と会いそろそろ帰ることにした。
「じゃあね、鳴未!気をつけてね。」
「うん。輝こそ気をつけるんだよ?でも、男が2人もいれば平気かな。」
「ヒーローが2人もいても輝ちゃんは無敵だよね!」
「ゆっ勇希雄くん、それどういう意味!?」
報告の帰り道、僕と春と輝が鳴未と別れた。
3人それぞれの家は鳴未の家より遠い。
海恋はと言うと、4人の家よりずば抜けて遠いので最寄り駅から電車に乗って帰った。
もちろん全員が駅まで送って。
「鳴未、隣のおばさんに捕まって道草を食うなよ。」
「わかってますー!ばいばい、みんな。入学式でね!!」
「おーう。」
今思えば、あの時鳴未はどうしていればあの事件に巻き込まれなかったのだろう。
大切な仲間を失ったことに後悔するしかなかった。
「…!?」(ビクッ!)
「どうした、輝。」
「い、今ね…ビクってなったの…。」
「ビクッ…て?」
「何か、なんて言うんだろう…。その…悪寒…というか、寒気がしたの。」
鳴未と別れた後、輝が寒気を訴えた。