第11章 再会イモーション
―…ピリリ ピリリ
ズボンのポケットでケータイが鳴った。
ポケットから出して確認してみると、琉架からの電話だった。
「はい、もっしー。琉架どうしたのー?」
『もしもし勇希雄、今どのあたり?』
「ん?琴西を過ぎた辺りだよ。どうしたの。」
『あのね、急に…その、いきなり春さんと会うのはちょっと避けてほしくて…。』
「え、なんで…?」
『春さんもびっくりしてたし、緊張してるの。だから、ワンクッションって必要かな…って。』
「ぁあ…そうだね。で、どうすればいいの?」
『一応家の前で待ってるから、早く来てね。』
「了解。琉架に誘われるって、なんだか気持ちいいね!」
『はぁ!?私がいつ誘ったの…!!』
「え?ほら、早くキて…って。」
『ばっ、馬っ鹿じゃないのこの変態!!いいから早く来い!バカ!!』
―…プチ!ツーツー
「冗談なんだけどね。かーわいーなぁ(笑)」
琉架が待っているので僕は急ぐことにした。
記憶が確かであれば、この角を曲がれば春の家が見えてくるはず。
(さーて、僕の記憶はどうでしょうか!!)
―…ボフッ!!
「ぉわ!!」
「わぁっ!?」
誰かにぶつかってしまったようだ。
(女の人の声!?やば!)
「すいません、大丈夫ですか!?」
ぶつかった拍子に倒れてしまった女性に手を差し伸べる。
しかし、その女性が発した言葉はひどく意外だった。
「あはは、全然大丈夫ですよっ!…あれ、もしかして君…勇希雄くん!?」
「へ?」
おっと、間抜けな声が出てしまった。
どうやらこの女性は僕のことを知っているらしい。
「ねぇ、絶対勇希雄くんでしょ!?」
「は、はい。…そうですけど…。」
「やっぱり!私だよ、覚えてない?中学から同じの…!」
「…ああ!!輝ちゃん!?」
「そう、正解!覚えててくれてよかった~♪」
思い出した!!この子は中学校から一緒の『早乙女輝(さおとめ ひかり)』ちゃんだった。
どちらかと言うとよく話してたし、付き合ってるとか噂された時もあった仲だ。彼女もみんなと同じ琴野高校に通っている。まぁ、会うのは3年ぶりなのだが。
「大人っぽくなってて初め誰だか分かんなかったよ。久しぶりだね。」