第11章 再会イモーション
「あー。…先生、僕もう行くね。」
少しの沈黙の後、僕から別れを告げた。
その時タギ先生は、僕の無表情に焦ったような顔をして俯いていた。
(まずい!!ダメなこと言っちゃったかも!!っとか、思ってたんだろうなー…。)
「ぇ、あぁうん!ごめんね子供たちが呼び止めちゃったみたいでっ!」
「いや、全然平気。みんなも何も変わりないんでしょ?」
みんなが居る方に目を移す。
見た感じ、初めて見るような子は目に付かない。
「…変わったことか。強いて言うなら…、悲しい話。お友達が増えたって事かなっ。」
「え?お友達って…。」
あ…またか…。
「1人は赤ちゃんで、花の丘園の門の前。もう1人は三歳くらいで公園に放置。…育児放棄が多すぎ。」
「そう、だね…。」
もう知っているかもしれないが、花の丘園は孤児院だ。
お友達が増えたというのはこの孤児院に住む子供が増えたということ。
琉架や時雨、そして春もみんな花の丘園出身だ。
「あ、僕これから朝飯食べに行くんで。さようなら。」
「えぇ。またね!」
「お兄ちゃんばいばい!!また来てね!!」
「バイバーイ!!」
「うん、ばいばい。また遊びに来るからね!」
小さく走りながら手を振った。タギ先生は僕が見えなくなるまで見送ってくれた。
(やぁっばぁあ!!もう空腹の限界だぁぁあ!!
…でもやっぱり、タギ先生の笑顔
まだ好きだなー…。
結婚してまた綺麗になったっていうか…。
て、
何考えてんだ僕は!!)
右手で自分の右の太ももをペシンと叩いて、正気を戻させる。
しばらく歩いていると、前方に琴野西小学校が見えた。
琴野西小学校。
通称『琴西』。
琴西は春や時雨、琉架そして僕が通っていた思いでのある小学校だ。
僕の家からは初宮第二小学校の方が近いが、春が琴西に通うと聞いたので母の反対を押し切って琴西に通わせてもらった。
実際、太陽と正義は初宮第二小学校に通っている。
(運動会は一緒にリレー対決したなー。六年間僕たちずーっとリレー選ばれてたし。時雨からバトンもらった時もあったなー。うわー懐かしー!!)
そんな事を考えていたら次第に足が速まった。
あの三人に早く会いたかった。