第2章 単品ディスライク
そんな事を考えていたら、
肩をトントンと叩かれた。
「おい、歌川ぁー」
バーチャルアイドルへの誤解を打ち消そうと必死だった俺の脳裏は、
1人の男子生徒によって瞬時に現実へと引き戻された。
「おい歌川!!」
「うぁあああ!?びっくりしたぁぁ…」
聞こえていないと思われたのか、
名前を怒鳴られた。
「何だ、聞こえてんじゃねぇかよー!無視されたと思ったぜ(笑)」
ニシシと笑いながら腕を組む。彼の名前は山吹 瑛太のはずだ。
「ななな何かな!?…山吹くん…?」
返事をしながら着けていたイヤフォンを外す。
それにしても俺に話しかけるなんて、相当な事態なのだろう。そうでなければ、普段1人でイヤフォンを着けてバーチャルアイドルの歌声を聴いている、終始無言の不気味な少年に関わろうとしないだろう。
自分で自分をケナすのは非常に心が痛い。
「いや~。お前っていつも1人だからな~って思ってよ…!あ、スマホとか持ってる!?」
その瞬間、みさきは目を見開いた。
1人の少年に話かけるなんて友達になろう!のサインじゃないか!!
しかも、スマホを所持しているか聞くなんて、暇だったらメールでもして仲良くなろう!という意味としか考えられないじゃないか!!!
神様は俺を見捨ててなかったんだ!!
俺は目に涙を浮かべ、スマホを前に突き出して勢いよく立ち上がった。
「持ってるよ!!!」