第7章 一塁メモリーズ
3年前まで、俺には四つ上の姉がいた。
しかし今はもういない。
殺されたのだ。
犯人は当時15歳で、姉と同じ学年の男子生徒。
犯行現場には姉の遺体と共に、もう1人の女子生徒の遺体が有ったことから、その男子生徒は2人の女子生徒を殺した罪として、少年院に送られた。
しかし、二年もすれば男子生徒はすぐ出所した。
今はもう平凡に学校に通っているのが、とても忌々しい。
俺は殺人を犯した未成年の人達が、少年法に守られているのが許せなかった。
殺人を犯したのに大人も子供も関係ないと思っている。
大人が死刑なら子供だって死刑だ。行ったことに変わりはない。違うのは人生の長さだ。
それが嫌なら人を殺さなければいいだけのこと。
人を殺しておいて、平凡と生きられているあの男子生徒が不思議でたまらない。
無反応な俺に、また苛立ちを覚えてか今度は足を開き腕を組んだ。
「ぁ…、何でそれを…?……あんた誰なんですか!?」
ニヤついた表情になったお兄さんは少し屈んで、俺と目線を合わせてこう言った。
「そのこと、詳しく知りたくないか?」
「っ…!」
その瞬間俺は目を見開いた。この男があの事件の事を知っているということに。
自分の鼓動が速くなっているのがわかる。
冷や汗がとまらない。
「…ふっ!知りたいようだな、面白ぇ奴。顔に出てやがる。」
「ちょっと待って下さい!!あんたはこの事件に関わったんですか!?…まさか、
あんたが殺した…?」