第6章 乙女色コントラスト
ニヤリと笑いながら私はゆらゆら歩く。目的地はおっさんの前。
「おっ、おい…。一五やべぇって…。止めろって言ったのお前だろ?」
「仕方ない。あんな事言ったおっさんが悪いな。普通に礼を言わないから…。」
「おーら、やっちゃえよ、一五!!」
金髪とメガネが呆れた顔でおっさんを哀れむと、猫目が加勢の声をあげた。
ツンツンは黙然と突っ立っていておっさんに対しての呆れを隠せないようだ。
おっさんはあいつ等の脅しで腰が抜けているのか、立ち上がろうとしない。
それを好都合に私はおっさんの目の前で仁王立ちになった。
するとおっさんは怖くなったのか、隠し持っていたナイフを私のすね目掛けて切りつけてきた。
幸い少しの切り傷ですんだが、私の怒りは最高潮に上り詰めてしまった。
「運が無かったわね、おっさん。
あたしに出会った瞬間から。」
三十路リーマン(おっさん)はツンツンによって口をタオルで塞がれ、路地裏の更に奥へと連れて行かれた。
正確には、私が指図したので連れて行ったことになる。
路地裏の更に奥で口を塞がれた男性は、財布を丸々奪われ身ぐるみを全て剥がされた状態で座り込んでいた。
きっと警察や一前寺高校には行かないであろう。何故なら自分も女子高生をナイフで切りつけるという罪を犯しているから。
「三万円か…。一万はもらってくわね。これで本買うわ。」
「まじかよ!!…まあ、一五の活躍分かな。」
「そゆこと、じゃあね。お疲れ様。」
私は一万円札をピラピラさせながらすっかり薄暗くなった街道を歩き出す。1人で本屋を目指すつもりだったが、4人ともついて来た。
「何よ、何ついて来てんのよ。」
後ろを振り返り4人に問いかける。するとメガネが、
「本屋行ったら、晩飯食いに行かないか?久しく行ってないだろ?」
その言葉に私は少し顔が明るくなった。