第5章 惹かれ症ガールフレンド
昼食は私が作ったお手軽弁当。
何時も自分と時雨の分だけ作っている。
春さんは、私の手間が省けるようにと、学食のパンを買っている。
お気に入りはサンドイッチだそうだ。
サラダとハムのサンドイッチが、4つ入っていて百円なのは随分お手頃価格だ。主婦的な春さんにはぴったりだと思う。
晴れの日は裏庭の端のベンチで3人揃って食べるが、雨が降るとそこには行けない。だから誰にも邪魔されない3人だけの場所へ向かう。
それは、最上階からの階段をさらに上がった屋上までの階段の上だ。
屋上は立ち入り禁止なので屋上まで行ったことはない。たまに好奇心で行く人も少なくはないが、あくまでも立ち入り禁止なのだ。厄介事は避けたいと、3人ともそう思っている。
屋上までの階段に行くと、案の定誰もいなかった。
とは言っても、春さんはいる。いつもの事だから支障はない。
一学年上の春さんとは別行動なのだ。
「さて、いただきます!」
時雨だけがそう言うとやっと昼食が始まった気になる。
「で、決めたのか?琉架。するかしないか。」
春さんに聞かれて思い出した。私がアプリをダウンロードするか悩んでいたことを。
「ああ、実はまだなんですよねっ。なかなか難しくて…」
あははと笑いながら言うと春さんは少し呆れまじりの目をして、買ってきていたストロー付きの飲み物を口に運んだ。
「なら今アプリの内容を確認してみたら?3人だけだし、携帯使ってるのバレはしないぜ?」
「そうね、今思えば内容なんて全然知らなかった!ナイスアイディアね、時雨!!」
そう言って私は自分の青いスマホを取り出した。