第5章 惹かれ症ガールフレンド
私は登校してからもずっと時雨の誘いに乗ろうか考えていた。
休み時間になると必ずと言っていいほど
携帯を片手に頭を抱えながら廊下をウロウロしていた。
きっと私の私情を知らない人から見たら、かなり危ない人だと思われるだろう。
途中、クラスの違う時雨(私がこうしている理由の張本人)と何度かすれ違い、そのたびに「そんなに深く悩まなくてもいいよ」や、「まだ考えてんの!?もう大丈夫だぜ!?」など声をかけられた。
が、こう言われたかどうかも曖昧なほど私は真剣に悩んでいるのだ。
「はぁあ。どうしようかなぁ…。」
「あれ~、何か曇って来たぁ?」
クラスメートの女子がそういった気がした。
その途端、大粒の雨が教室の窓を叩き始めた。
「うわぁ…最悪ぅ。」
「傘持ってきてないぞ~、俺…」
「ジメジメして、暑苦しくなるじゃん~」
などと沢山罵声を浴び刺される雨だが、
私は少し雨の日が好きだ。
なぜなら…
「琉~架!雨だから、あの場所で食うぞ?」
時雨が横から私をのぞき込んできた。
その手には朝、私が作った弁当が握られてある。
どうやらもう昼休みのようだ。