第5章 惹かれ症ガールフレンド
「ここからアプリのページに飛べるんだけど…、ワード検索が便利だぜ」
時雨に導かれながら、そのページを開く。
全体的に黒を基調にしたそれは、かなり不気味で気が引けた。
ホラーじみた物は極力避けている。私は怖いのが苦手なのだ。
今は春さんの顔付きや性格はもう慣れっこだか、昔は絶望的に苦手で、こちらから一方的に顔を見ることも困難だった。
「何か…怖そう…」
「そんな事はないぜ?雰囲気だけさ」
そう言って時雨は下にスクロールしていく。
するとそのアプリの内容が書かれているのだろうか、文章が見えてきた。
「はい、これがストーリーってやつ。」
時雨に見せられたその画面に書かれた文章は、私の心臓を掴むかのように目を奪われた。
「…『貴方の力が必要です。』…」
この胸の高鳴りは何だろうか…。ドキドキする。きっと恋ではない。もし恋ならば、私は文章に恋をしてしまったことになる。
そうなれば家族からも変人扱いになるかもしれない。
それだけはゴメンだ。
「何だ。石依にしては珍しく目が釘付けになってるじゃないか。何か惹かれる物でもあったか?」
「……さあ」
口をモグモグさせながら春さんが私に聞く。でも私はそれどころではなかった。代わりに時雨が応えた。
このゲームは本当に私を必要としているのだろうか。
こんなにも惹かれているなんて、自分でも怖い。このアプリが怖い。
2人から私の姿はどの様に見えてるかな。
変な顔してないかな。
きっと、私がこのゲームをして何かが変わる。そんな気しかしない。
「時雨…、私これやりたい。やってみたい!」
気持ち悪いかもしれないけれど、運命を感じる。
「本当に!?琉架もゲーマー入り決定!!変な家族になっちゃうぜ(笑)」
「そうならないように、俺が援護しよう」
「なんスかそれー!!」
惚れちゃったな。
また変に熱中しちゃう。
「ボーッとしてないでさっさと食えよ」
「「 …あ! 」」
予鈴まであと10分。