第5章 惹かれ症ガールフレンド
「ぇあ…、すみません…蓮堂さん。」
時雨は少し後悔したような顔つきで、春さんに謝る。
「謝るならまず石依にだろ。まあ…俺も言い過ぎたな。悪かった。」
照れくさそうに謝る春さんは微笑ましい。
私と時雨の顔からは思わず笑みがこぼれた。
「ごめんな、琉架。無理矢理言って。全然、大丈夫だから…琉架の好きにしてくれよな?」
私の方に向き直して今度は私に謝る。
こんな風に素直なところには昔の時雨の面影を感じる。
成長しても、あまり変わらない所があるのはどこか嬉しい。
私の母性愛が働いているのだろうか。
「ううん、いいのよ。気にしてないから。」
私が笑顔でそう返すと、時雨は安心したような顔をした。
そして、全員食事を再開した。
少しして私はこう付け足した。
「…ダウンロード、考えとくね。」
そう言うと、時雨はこっちを見て目を大きく開いた。そして、ニッコリと万弁の笑顔で笑った。
貴方のその無邪気な笑顔が、頼れる器の大きさが、気遣ってくれるその優しさが、
きっと、私を好きにさせたのかもしれない。