第8章 7 Connettersi~繋がり~
しばらくさっきまでの余韻に浸ってた俺だが、帰らないと夕方になるので靴箱に向かった。
今日は四木さんとの予定もないしゆっくり出来るな。
けど、静雄はもう帰っただろうか?
窓から入って来る光は既にオレンジ色だ。
部活に入ってない静雄はもう帰ってるかもしれねぇな。
『…ん?』
と思ったが、俺の推理はハズレみたいだ。
静雄は靴箱にいた。
けど…靴箱の戸を開いて中に手を突っ込んだまま固まっていた。
ピクリとも動かねぇ。
もしかして…ラブレターとか?
『どした?』
「わっ!? 徹さん!?」
『驚き過ぎだって』
思いっきりビクッって肩を跳ねらせたぞ。
まぁ靴箱の中身を見ようとして気配を消した俺が悪いのかもしれねぇけど。
結果靴箱に手紙らしきものはなかったけどな。
『どした? ボーッとして』
「な、何でもないです! 帰りましょう!」
おかしい…明らかにおかしい。
何か隠してる…でも、何を?
靴箱に仕舞っていた靴を荒々しく取って履き替えたので、俺も靴を履き替えに自分の靴箱に行く。
靴を履き替えたから静雄のところに行くと、今度はそわそわしている。
まさか…学校で何かがあったのだろうか?
ポツポツとだけ交わされる会話をしているうちに分かれ道に着いた。
いつも俺達が別れる場所だ。
『じゃあな静雄』
「あ…っ、徹さん!」
『ん?』
静雄は進もうとした俺の手を掴んで呼び止めた。
「えっと…徹さんの、部屋に行っても…いいですか」
『…別にいいけど』
今日の静雄はどうしたんだ…?