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Il mio modo

第7章 Negligenza~油断~


『っ…』

「あ…っ…あ……」


避けきれず俺は後ろに尻餅を付いた。
たかが爪が掠っただけだ、大した怪我はしてない。

だが静雄には…精神的に大きなダメージになってしまったみたいだ。

自分の指に少し着いた俺の血を見て、泣きそうな声を漏らしながら動揺していた。

そのままヘタリ込んで震えていた。

今の静雄は…絶望という言葉がピッタリなくらい苦しそうだ。



そんな心配しなくていいのに。



俺は立ち上がって静雄の前で屈み、頭に手を置いた。


『ほらな、平気だろ?』

「え…」

『心配しすぎなんだよお前は
 何年一緒にいると思ってんだよ』


そのまま静雄の頭を撫でてやった。


『こんなんで嫌いにならねぇし、見捨てるワケねぇのによ
 お前の事は何でも理解しているつもりだぞ』


だから、カスリ傷とは言え俺に怪我をさせてしまった事を凄く責めているのもわかる。
それでも…いや、だからこそ、俺が静雄を安心させる言葉をかけてやらなくちゃいけないんだ。



『短期で力強いけど

 本当は優しくてケンカが嫌いで

 甘いモンが好きで弟思いで

 涙脆い子だよ』


静雄の目尻に涙が溜まっていたが、とうとう流れて頬に伝った。
俺はその涙を指で拭ってやった。


『そんなお前を放っておけるワケ…!』


ねぇだろ…と言う言葉は遮られた。


静雄が俺に抱き付いた事で再び尻餅を付いたから。


「ごめん…なさい…」


声も体も震えている静雄は俺の背中に回した手で服を握る程強く俺にしがみついた。


「一人になりたくない

 一人に、しないで…」


ポツポツを発せられる静雄の本音。
それは改めて見せられた静雄の心だった。
俺はこの体勢のまま静雄の頭を優しく撫でた。


『よく言えました』


放すワケねぇじゃん。

俺は心の中で即答した。

だってよ…ガキの頃お前が言った本音を聞けば…


 (俺は暴力が嫌いだ!!)

 (だけどアイツらが…俺だってッ)


あの時の涙を見ればさ、

傍にいてやりてぇって思っちまったのは…


仕方ねぇ事だろ?


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