第5章 Beneplacito~承諾~
四木さんの言っていた通りICチップを翳すと鍵が開いたのであろうピピッって音が鳴った。
中に入ると、暗くても清潔感があって高級そうな造りなのがわかる…やっぱ俺場違いじゃね?
キーホルダーの番号と部屋の図を見比べてみると、俺の部屋は四階の20号室らしい。
キーホルダーに"420"と彫られていたからだ。
420
しずお
静雄
『…四木さん…』
これは偶然なのか?
それともわざとなのか?
まぁいいや、グッジョブ。
絶対ぇ忘れねぇし間違えねぇ番号だな。
エレベーターは作動するみたいなのでエレベーターで四階に上がり、420号室へと向かった。
『此処か』
ドアに420と記された部屋に着いた。
鍵を開けて入ってみると、真っ暗だったので電気を付けた。
…此処はホテルなのか?
修学旅行で行ったような部屋だった。
つまりシワ一つない綺麗なシーツにきっちり整理された家具に小物。
ちょっと四木さん…いや、もう何も言うまい。
『…はぁ』
清潔過ぎて何の匂いもしない。
他の部屋の人はもう寝ているのだろう、何も聞こえない。
そんな静寂な部屋に俺の溜め息は意外と大きく響いた。
そのまま荷物を置いてコートを脱ぐと、ベッドに仰向けで寝転がった。
何だろう…妙に清々しいな。
いきなり一人になって後悔したり、寂しくなって涙が出たりするのかと思った。
けど実際は解放感の方が大きかった。
『(あ…ヤバ…)』
相当疲れていたのかな…急に眠気が襲って来た。
まぁいいか。
俺は逆らう事無く眠気に従い、瞼を閉じた。
<徹side out>