第5章 Beneplacito~承諾~
「お待たせしました」
『まさか本当に来るなんて…』
「寒かったでしょう、中にお入りください」
『お邪魔しまーす』
俺は四木さんの車に乗った。
えーっと今迄の状況を説明すると、先ず俺は家を出た。
四木さんに粟楠会に入る事を言った。
ついでに家を出た事も言った。
そしたら迎えに行くと言ってくれた。
公園で待ってたら本当に来てくれたので車に乗った、終わり。
『で、何処に向かってるんですか?』
「貴方のマンションですよ」
『はい?』
「私が用意しました」
『いつの間に!?』
「貴方を迎えに行く間に電話しておきました」
『すご…』
やーさんって何でも有りだな…でも正直有難い。
ぶちゃけ野宿しようと思ったけどさ、こんな寒い夜に野宿ってキツいんだよな。
静雄の家にお世話になるワケにはいかないし。
何があったのか尋ねられると静雄達にも知られる。
静雄に変な心配はかけたくねぇからよ。
第一こんな時間に起きてるワケねぇだろうし。
まぁ要するに、始めから静雄の家に行くって選択肢はなかったって事だ。
「粟楠会の屋敷に近いマンションを用意しています
あ、あとそのスマホは差し上げます」
『何から何まですみません』
「お誘いした方におもてなしするのは当たり前でしょう」
『してもらい過ぎですよ』
「そうでしょうか? 必要なものがあればまた連絡ください」
『この恩はいつか返します』
「期待して待ってますよ」