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Il mio modo

第5章 Beneplacito~承諾~


時計を見れば深夜0時をすでに過ぎていた。
だが俺は昼間の格好のままだ。



『もう後戻りは出来ない』



ヤケクソになったワケじゃねぇ。
この時間になるまでずっと考え続けていたんだ。
どっちかと言えば、吹っ切れたと言った方が妥当だろう。

必要最低限のものが用意出来た俺は自分の…いや、


俺の"だった"部屋を出た。


真っ暗な部屋の中、人の気配が無いのを確かめて音を立てないように階段を降りる。
そっと靴を履いてドアに手をかける。
こればっかりは音が鳴るがなるべく音が鳴らないように気を付けながら。

玄関を出た俺は前に立って家を眺めた。



『…じゃあな』



自分でも若干驚くくらい静かな声で言った。
そのまま俺は歩き出した。
何処って目的もないけどな。

取り敢えず俺はポケットに仕舞っていたスマホを取り出した。
そう…二、三カ月前に四木さんに手渡されたスマホだ。
いつでもいいって言ってくれたけど、まさかこんな時間に電話されるなんて思わないだろうな。
なんて思いながら俺は電話帳から四木さんの電話番号へ電話をかけた。

着信履歴をしておくだけで出てくれなくてもいい。
そう思ってたのに…まさか、


〔こんばんは、徹さん〕


応答するなんて…。


『こんばんは、四木さん こんな時間にすみません』

〔いいえ、私も丁度仕事が終えたところです〕

『なら良かったのですか』

〔しかしこんな時間にどうしたのですか?〕

『返事を言う為のスマホでしょう?』

〔では、答えが決まったと?〕

『はい』



一呼吸置いて俺は四木さんに告げた。








『入りますよ 粟楠会に』


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