第5章 Beneplacito~承諾~
分厚い上着を着なくては外に出歩けない程寒くなった季節。
俺は冬になるといつも来ている黒いコートを着て家を出た。
家を出たと言ってもそこまで遠い場所じゃねぇ。
つーか徒歩で10分もかからねぇしな。
とある家に着いた俺はインターホンを慣らした。
スピーカーから女性の声がして返事をすると、玄関に出迎えてくれた。
「いらっしゃい徹くん」
『こんにちは』
「こんな寒いのにありがとうね」
『俺がいたいんですよ』
「そう言ってくれるのは徹くんだけよ さ、上がって」
『お邪魔します』
家に上がらせて貰うと俺は二階の部屋に上がった。
もう何度も来たこの家は慣れている。
目的の部屋い着いた俺は迷う事無くその部屋に入った。
『やっほ』
「徹さん!!」
「こんにちは」
部屋にはコタツに入っていた静雄と、弟の幽くんがいた。
そう、この家は静雄の家でさっきの女性は静雄と幽くんの母親だ。
若干静雄は寝惚けてたけどガバッと起き上ったのは可愛かったなぁ。
幽くんはあまり表情を変えないけど少し笑ってくれた。
静雄はコタツから出て俺の手を取って来た。
「手ぇ冷たいですね」
『風吹いてたからなぁ』
「徹さんも早くコタツ入りましょう」
『その前に、はい』
俺はポケットに入れていたプリンを静雄に手渡した。
「プリン!」
『勿論幽くんのもあるよ』
「ありがとうございます」
幽くんにも渡して俺は静雄の隣に座った。
あーコタツん中温かい~。