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Il mio modo

第4章 Invito~勧誘~


言わずもがな俺はケンカを売られている事を静雄に言ってない。
てか言うワケねぇだろ!
もしも静雄にこの事を言ったら…アイツはきっと自分のせいだと思い悩むだろう。
静雄は何も悪くねぇんだ、寧ろ迷惑を被ってるのは静雄の方だ。

始めの頃は階段から転んだとか体育の時転んだとか色々な言い訳をしてきたからまぁなんとか誤魔化せた。
静雄とは偶に帰り道で会うか例の如く入院している時しか会わなかったからバレずに済んだのだと思う。

だが同じ学校に来るとすると話は別だ。
人間には噂という実体のない恐ろしい武器が存在する。
現に俺達は噂が広まってケンカを売られてまた噂を流されての悪循環でこうなっている。

それに静雄と遭遇する確率が高くなると言う事は、静雄にケンカしてる様子を見られる危険性があるって事だ。
あぁもう…人間ってのはなんて厄介な生き物なんだ!!






「こんばんは、太刀川徹さん」



『、…』



背後から酷く落ち着いた声で呼ばれて俺は金縛りを喰らったかのように足が止まった。
振り返るとそこには白いスーツを着た痩躯の男が立っていた。
だがそれは外見だけの話で…内心ヤバいと感じた。

何だろう…空気が違う。

気配? オーラ?

そんな感じがした。



「そう身構えないでください
 私は貴方と話をしてみたかっただけですよ」

『…そうですか』

「よろしければお時間ありますか?」

『まぁ…構いませんが』

「ありがとうございます」



付いて来てくださいと言われて向かったところに黒い車が用意されていて、ドアを開いて中に入るよう促されたのでそれに従った。

何で付いて行く事に了承したかって?
この人…よくわかんねぇんだよなぁ…。

冷静かつ冷酷なヤバい空気を纏っているのも、対照的に紳士的な態度を取って優しさも兼ね持っているのも、どちらもこの人の本性って感じがして意味わかんねぇ。

一体何がしたいんだ?
そして何で俺の名前を知っていたんだ?
それが知りたくて俺はこの人の誘いに乗った。


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