第3章 Deterioramento~悪化~
『…っ、はぁ』
不良三人が走り去り俺だけになった瞬間、全身の力が抜けて壁の方へグラついた。
そのまま壁を擦ってズルズルと座り込む。
『…何もかわらねぇのか』
体中が痛ぇ。
頬も頭も背中も腹も口ん中も…痛ぇままだ。
ケンカに勝っても…なんにもならねぇんだな。
勝ったって嬉しくもねぇし、達成感もねぇし、喜びもねぇ。
虚無感しか残らねぇ。
いい事なんて…一つもねぇじゃんか…。
『静雄も、同じなのかな』
こんな思いを何度も経験してきたのかな…。
俺が知るよりも前から、
何度も何度も…
その度に辛い思いをして、
その度に後悔して、
自分の中に仕舞い込んで…
『…こんな思い…もう、させたくねぇ』
ならどうすればいい?
そんなの…今の俺にわかるハズもなかった…。