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Il mio modo

第3章 Deterioramento~悪化~


「そうっすけど…」

『けど?』

「…この方が…"兄さん"って感じがして…」



…こんな事を言われたらもう何も言えないだろ。
静雄が俺の事を"兄"ポジションとして認識してくれている証なんだ。
嬉しくないワケがないだろ。



『もー…わかったよ』



結局折れたのは俺だ。
どうやら俺は静雄に弱いらしい。
今に限った事じゃないけどな。



『はい、お見舞い』

「プリン!!」



静雄が入院すると俺はお見舞いの品として、静雄が好きなプリンを持って来てやる。
これも俺が中学生になって始まった恒例の事だ。
気休めにしかならないかもしれないけどと思って始めた事だが、甘いものが好きな静雄は大袈裟だろってくらい喜んでくれた。
俺の方も静雄が美味しそうに食べている様子を見ると和むし安心するんだ。
つまり静雄の為でもあり俺の為って事になる。



「いつもすみません」

『いいんだよ 俺がしたくてしてる事だ』



俺がプリンとスプーンを渡すと嬉しそうに受け取る。
蓋をペリペリと剥がす静雄の目は宝物を見つけた子供のようにキラキラしていて可愛い。
まぁ子供だし実際可愛いんだけどな。



「いただきます」

『どーぞ』



毎度俺がそう言うと静雄は照れ臭そうに笑い、食べ始める。
家族はどうかわからないけど、静雄がこんなに嬉しそうな顔をしているのを見れるのは多分俺だけだ。
小学生の時見かけた静雄はいつも無表情、もしくは何か思い悩んでいる様子だった。
きっと今もそうだ。



「ごちそうさまでした」

『お粗末様でした それじゃあ勉強頑張ろっか』

「はい!」



空になった容器と使い捨てのスプーンをゴミ箱に捨てて、鞄から筆記用具を取り出す。
静雄も宿題として配布されたプリントを取り出して机に置く。

他愛もない話をしてプリンを食べて勉強する。
これがいつもの一連の流だ。
入院が増えて勉強が追い付かなくなったら困るだろ?
だから俺がミニ家庭教師してやってんだよ。

当時俺が小学五年生だった時に頭を抱えた算数も中学生になった今では驚くほど簡単に解ける。
それはもう足し算や引き算をするくらい容易いものだ。
俺はこんな簡単な問題が解けなかったのかよ…って思うくらいだ
…成長って凄ぇな。


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