第1章 affettuoso(アフェットゥオーゾ)
こうして手にしてる所を見つかるとバツが悪いのは何でだろ?
「えっ?これ?」
「はい、メモ…じゃないですよね?」
どう考えてもメモじゃないし。
これ見つけた事でメモの事とか、どっか飛んでたよ、俺。
俺の手の中のそれが気になる様子の君だけど。
やっぱりいつもと違う。
微妙に距離を感じる。
「知りたい?」
訊ねた俺の言葉にコクリと頷く君だけど、やっぱり距離は縮まらない。
「あのさ…俺、これも探してたんだ」
「えっ?」
「その…メモよりも先に、実はこっちを探してたんだ。さっきキスしながら」
床に散らかしたバックの中身なんかそのままに、立ち上がった俺はそのままベッドに腰を降ろす。
「キスしながら、探しものしてたの?」
「別に片手間にキスしてた訳じゃないよ?」
クスリと笑った俺は、自分の隣をポンポンと手で叩いて。
「おいで」
ってを呼んでみる。
いつもはニコニコと隣に来てくれる君なのに、今日は僅かに躊躇うんだ。
やっぱ、さっきのアレがマズかったよな?
「ねぇ、教えて欲しいんでしょ?さっきのアレが何か」
そう訊ねながらも、手にしていたゴムはそそくさとポケットに隠してしまうと。
「あっ、音也くん、ズルイ」