第1章 affettuoso(アフェットゥオーゾ)
珍しくそんな事報告して出かけたってのに。
あれ?待てよ。
そもそも、その報告からしておかしくない?
トキヤが犯人なの?
って、そんな事は今はどうでもいいんだった。
この気まずい雰囲気を何とかしないと!
「そっ、そうでよすね」
笑って応える君は、でもどこか残念そうに見えるのは、俺の気のせいなんだろうか。
にしてもついてないよ。
いつも恥ずかしがる君に、どこまでなら大丈夫かな?って。
様子を伺いつつ、でも今すぐにでもって思う衝動を抑えて。
必死に堪え続けて来たって言うのに。
「えっと…じゃあ、その、打ち合わせしちゃおうか?」
息苦しくも思える部屋の空気をなんとかしなきゃって。
慌てて話をそらす俺は、書きかけの歌詞を探すべくバックへと手を伸ばした。
ベッドで組みしかれてた君も、ベッドから降りて俺の隣に僅かに距離を置くように座る。
あーっ、この微妙な距離は何?
やっぱさっきのはまずかったよなぁ。
いっそ事情を説明した方が良かったかも知れない。
そうは思ってももう取り繕えない。
大事にする。
言うのは簡単だけど、こんなにも大変な事だなんて。
でも、の事が大好きで、本当に大事だから。
自分の衝動のままに行動しちゃうのは、きっと違うと思うんだ。