第1章 affettuoso(アフェットゥオーゾ)
可愛いその声は妖艶なそれへとその音色を変化させる。
抜き差しする指を曲げて内壁をひっかくみたいに動かすと、一層甲高い声を上げる君。
その声に応えるように、そのまま指を動かすとヒクヒクと収縮する内壁が俺の指を締め付けた。
「大丈夫?」
訊ねる俺に、瞳に涙を浮かべた君が。
「ぜっ…全然…大丈夫じゃ…ありま…せん」
って、すげぇ可愛い表情で肩で息をしながら応えるんだ。
「あーっ、もう!どうしてそういう顔するかな」
「えっ?」
「あんまり可愛いと、俺、加減出来なくなっちゃうよ?」
クスリと悪戯に微笑むと君にキスをして。
枕元に置いたゴムを手に取る。
「ちょっと…ゴメンね」
そうして手にしたゴムのパッケージを口を使って開けると。
そのまま君に背を向けて服を脱いでゴムを装着するけど、なんだか焦ってて手元が覚束ない。
なんかこの微妙な沈黙が辛い。
あぁ、こういう時ってどうやってて間をもたせたらいいんだろ?
俺、全然分かんないや。
レンに質問しておけばよかったかな?
…だなんて、焦りからかそんな事が頭をよぎる。
きっと君は不安で怖いだろうと思うから。
かっこ良く余裕見せて安心させてあげたかったのに。
なんだか焦っててかっこ悪いけど。