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薄桜鬼 短編集

第1章 最後の手紙~The Last Letter~ 原田左之助


おばさんはその場に崩れ落ちる。
俺も、運ばれていく朔を、ただじっと見つめることしか出来なかった…。

病院の一室に運ばれた朔。
おばさんは、先生の話を聞いているため、ここには俺しか居ない。
椅子を取り出し、朔を見つめる。

「…すまねぇ朔…おじさんと約束したのにな…お前を守るって…」

朔の手を握りしめ、俯いて呟く。


そうこうしているうちに、日が傾き始めた頃。

「…さ…の…?」

「朔…?」

弱々しく俺の名前を呼ぶ、朔
気がついたみたいだ。

「待ってろ、今先生呼んで…。」

「いい…左之…ここに…ここに、居て…。」

どうしようかと迷ったが、朔の言う通り座り直し、向き合った。

「…ごめ…ね…私…もう、ダメ…なんだよ…ね…?」

「そんなこと言うな…大丈夫だから、弱気になるんじゃねぇ…」

「う、うん…自分の身体だ…もん…。」

「朔…」

「…さ、の…。」

「何だ…?」

「この間…連れて行って…くれた…丘…あそこにある大きな木に…左之宛にこっそり手紙…おいてあるの。」

「…俺宛に…?」

「ここから近いでしょ…?見てきて欲しいの…私、左之が戻る、の…待ってるから。」

「…分かった、すぐ見つけて戻ってくるから…待ってろ。」
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