第3章 先輩と後輩のちに…? 不知火匡
「なんだてめぇは!」
いきなり反対側の腕を掴まれ、グイッと引き寄せられる。バランスを崩した私は、そのまま声の主である…不知火先輩の胸に身体を預ける格好になってしまった。
「は?てめえらに名乗るような義理なんざねぇよ。」
「んだと!?」
男の一人が不知火先輩に拳を振るおうとしてる。
咄嗟に目をつぶったが、衝撃が来ない。恐る恐る目をあけてみる。
そこには、地面に伸びて動かなくなってるさっきの男の人。
「ちっ…お、覚えてろ!」
早々に立ち去る男の人達。
こ…怖かった…。
「おい、大丈夫か?」
「あ…は、はい…。助けてくれて、有り難うございます。」
袋を拾いながら声をかけてくれる先輩。
「お前まだ顔真っ青じゃねぇか…ったく、まだあいつらいるだろうしな。送ってくぜ、家どこだよ。」
「えっ!?そ、そんな!大丈夫ですよ、それに家近くですし!」
「流石に今の状況で女一人帰すわけはいかねぇだろ。いいから黙って送られてろ。」
「あ…は、はい。」
不器用な言い方だけど…心配、してくれてるんだよね…。