第3章 先輩と後輩のちに…? 不知火匡
「あ、ここですから…本当に有難うございます!」
「あぁ、じゃあな。」
ひらひらと手を振る先輩の腕が赤くなっているのに気づくと
「せ…先輩!その手…。」
「ん?あぁ、こんぐれぇ大したことねぇよ。」
そう言って踵を返そうとする先輩に
「あ、あの!手当てさせてください!」
ど…どうしよう…。私すごく大胆なこと…。ううん、手当てするだけだもん!
「…染みないですか?」
「あぁ、わりぃな。」
「いえ…怪我させちゃったの私のせいですし…。」
「オレが勝手に殴ったんだ。お前が気にする必要ねぇよ、夏野。」
「え…。」
どうして私の名前…。
「あ?お前薄桜学園の生徒だろ?んなもん分かるっつーの。」
…どうしよ、先輩が私の名前知っててくれてすごく嬉しい。
「あ、このこと風間や天霧には言うんじゃねぇぞ?あいつらうるせぇし。」
「クスッ…はい、分かりました。」
テキパキと手当てをしていく。
「…はい、終わりました。どうですか?」
「ああ、ありがとよ。じゃあな夏野。」
「あ…下まで送ります!」
先輩を見送ろうと、椅子から立った時に
「あ…おい!下見ろ下!!」
「へっ…?きゃあっ!?」