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薄桜鬼 短編集

第2章 紫瞳の貴方 土方歳三


-校門前-
先生を待つ私の前に車が止まった。

「悪ぃな、待たせちまったか?」

「いえ!私もさっきここに来たばかりなので」

「そうか、とにかく入れ。」

「あ、はい!お願いします。」

助手席に乗り込んだのを確認し、先生は車を走らせる。

「んで、お前の家どこだ?」

煙草を吸いながら聞いてくる先生。
か、かっこいい…

「あ、えと、この先の信号を右に行って…。」




道筋を教える以外ではそんなに会話ができず時間だけが経ち、とうとうマンション前…。

「あ、先生ここです。ここのマンションです。」

「…はぁ!?」

「ひゃっ!ど、どうしたんですか!?」

突然大きな声を出す土方先生。びっくりした…。

「あ、す、すまねぇ…。いや…俺もここに住んでんだよ…。」

「え、えぇ!?」

今度は私の方が声をあげてしまった。
そりゃびっくりするよ…まさか一緒のマンションに住んでたなんて…

「…流石に、部屋が隣だってことは…」

「あ、あるわけないですよ!そしたらきっと出くわす筈ですし…」

「……夏野、部屋何番だ?」

「え、えと205ですけど…土方先生は?」

聞き返してみる、返ってきた返事は

「…206」

…ベタな展開ぃぃぃぃぃぃぃ

「…わ、わぁ~…お、お隣さんだったんですねぇ…あはは…。」

「今まで気付かなかったのは、単なる偶然、か?」

「だ、だと思いますよ?土方先生、朝お早いでしょうし。」

「そうか…。」

先生は少し困ってるみたいだけど…私は嬉しいかな…なんて

「今更どうこうなるわけでもねぇか…まぁ、隣なんだし、よろしくな。じゃあ、あんま夜ふかしすんじゃねぇぞ、おやすみ。」

そう言い残し、さっさと部屋へ入ってしまった土方先生。

「お、おやすみなさい!」

って、もう部屋に入っちゃったから聞こえないよね…。

私も鍵を出し、部屋へ入る
そのままベットにぼふっと寝転ぶ。
壁際をじっと見つめ

「…この隣に、土方先生が居るんだ…。」

そう呟いた後なんだか急に恥ずかしくなり、私はその日すぐにお風呂へ入り、寝ることにした。
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