第2章 炎天下【影日】
「ちぇー...」
チョコアイスを右手に足取り軽く歩く影山を、日向はじっとりと見つめる。ちなみに荷物も日向持ちだ。
「公平な勝負の結果だ」
「でも!」
粘着質に食い下がる日向を無視してチョコアイスを堪能する影山。
熱に侵された体を癒す冷たさにため息をついて、既ににわかに溶けているアイスに口を付ける。
コーンの淵から垂れる溶けだしたアイスを掬う影山の舌に、日向の喉がごくりと鳴った。
「ぐうう...」
今度は唇がアイスの上を滑る。チョコ色に濡れた唇を舐めて、満足気に鼻から息を漏らす。
「...あ」
舌でアイスの側面を舐め上げた影山と、タイミング悪く目があった。
「何見てんだよ」
「っ、いや、なんでも...ない」
いつの間にか見入っていた自分に気が付いてぱっと目を逸らす。
(俺、なにドキドキしてんだろ)
影山は訝しげに日向を見ている。