第2章 【銀魂】偽りの華
「もう遅いから、俺が棗を送ってく」
「…変なことしないでくだせェね」
沖田が念を押した。
そうして、棗は土方と夜道を歩いていた。
「棗…」
その声に、棗は土方の方を向いた。
ドンッという音と共に、棗は土方によって壁へと追い詰められた。
「…と…十四郎さん…?」
いつもと違う土方の空気に、棗は視線を彷徨わせた。
するといきなり顎を掴まれて、無理矢理前を向かせられる。
「…う…んっ…いや…!」
荒いくちづけに、棗は土方の口に噛み付いた。
唇を離すと、土方の口の端からは血が出ていた。
「お前を誰かに取られるくらいなら…」
その手には、刀が握られていた。
「十四郎さん⁉」
逃げようとする棗の腕を強引に掴むと、土方は棗に向かって刀を振り上げた。
棗は思わず目を瞑るが…
「…っ…えっ?」
痛みが…ない…?
「…棗…」
その声に顔を上げると、棗をかばうようにして沖田がいた。
「無事で…よかっ…た」
そう言うと、沖田は棗にもたれかかった。
「総悟⁉」
背中からは、血が流れていた。
土方はもう一度刀を振り上げた。
それを見て、棗はとっさに沖田をかばった。
そして…
棗はすべてを思い出した。
そうだ、私たちは…