第2章 【銀魂】偽りの華
「こんな時間にこんなところいていーのかよ」
土方が笑いながらふすまを開けた。
「私の仕事は夜なので」
棗が微笑みながら言うと、土方は納得したように頷いた。
「そうか、居酒屋で働いてんのか」
「土方さん、俺の女に気安く話しかけないでくだせェ」
沖田が棗を引き寄せながら言った。
「えっ⁉二人ってそういう関係⁉」
近藤が大きな声で問いかける。
思えばこのとき、土方さんは少しおかしかったかもしれない。
でも私には…総悟しか見えていなかった。
「はい…」
棗が赤くなりながら肯定する。
「そういうことなんで、邪魔者は退散してくだせェ」
沖田がしっしっと手を振る。
「ちっ、しゃあねーな」
そう言って、土方は立ち上がった。
近藤もそれに続く。
ふすまが閉まると、沖田は棗を抱きしめた。
「総悟?」
そしていきなり、棗の唇を自分のそれと重ねた。
「んっ…」
棗の口から、甘い息が漏れる。
「あんたは俺のもんでさァ」
そのとき、いきなりふすまが開いた。
慌てて棗は沖田から身を離そうとした。
しかし、沖田は見せつけるかのように、棗に深くくちづけた。
「…総悟。近藤さんが呼んでる」
部屋に入って来たのは土方だった。