第2章 【銀魂】偽りの華
「思い出しちまったか…」
その声に棗が背後を振り返ると、そこには土方が立っていた。
「…っ…十四郎さん」
棗はそう言って土方を睨んだ。
「土方ぁ!」
沖田は唸るようにして、その名前を呼んだ。
そして、土方へと斬りかかった。
ガキンッ!
鈍い金属音が鳴った。
「まだ生きてたのかよ、総悟」
土方が笑いながら言った。
「てめーが殺し損ねたんでさァ!」
沖田が怒鳴りながら土方に斬り込む。
棗は、へなへなとその場に座り込んだ。
「棗!あぶな…」
沖田の声よりも早く、土方が棗を抱え上げた。
「総悟ぉ、お前がこの勝負に勝っても負けても、棗はお前のところには戻らねぇよ?」
その言葉に、沖田は一瞬動きを止めた。
「…どういう意味ですかィ?」
「棗?お前は記憶を失っていたとはいえ、総悟以外の男とキスしたり抱き合ったり…色々したよなぁ?そんなんで総悟のところに帰れるのか?」