第2章 【銀魂】偽りの華
土方に抱きしめられても、棗は嫌ではなかった。
(この人のことを…早く思い出したい…)
水族館から出ると、今まさに太陽が沈むところだった。
「綺麗…」
棗がそうつぶやくと、土方は微笑んだ。
「棗…」
そう呼ばれて振り向くと、真剣な土方の顔がすぐ近くにあった。
「十四郎さ…んっ!」
いきなり唇を塞がれる。
「嫌なら…拒んでいいから」
土方はそう言うと、さらに深くくちづける。
(嫌な…わけない)
どうして忘れることが出来たんだろう。
この人の…ぬくもりを…
棗は少しだけ、土方に近づけた様な気がした。
何もわかっていなかったのに…