第2章 【銀魂】偽りの華
その言葉に棗は目を見開いた。
「それは…思い出せずに…」
棗が目を伏せると、土方は慌てて言った。
「いや、ゆっくり思い出してくれりゃあそれでいいから」
土方は棗の髪をさらりと撫でた。
「じゃ、また来るから」
そう言うと、土方は病室をあとにした。
残された棗は、途方に暮れていた。
(自分のこともまともに分からないなんて…)
そのとき、病室のドアが静かに開いた。
入って来たのは、若い看護婦さんだった。
「あの…事件のとき、由良さんが身につけていたものです」
そう言って、看護婦は棗に衣類などを手渡した。