第1章 【黒子のバスケ】夏色花火
「あーあ…ガラスの靴をわすれてるよ、お姫様」
伊月は、棗の足から滑り落ちた下駄を拾い上げた。
自分でもどうしてこんな気持ちになるのか分からない。
(俺…実は、棗ちゃんのこと好きだったのかなー…)
「でも、王子様は俺じゃないか…」
独り言のようにそうつぶやくと、伊月は満天の星空を見上げた。
* * *
「…っ…黒子くん!」
棗が苦しそうに言うと、黒子はようやく立ち止まった。
そして棗の足を見ると、申し訳なさそうに言った。
「すみません…大きいかもしれませんが、履いててください」
黒子は自分の靴を脱いで、棗に差し出した。