第1章 【黒子のバスケ】夏色花火
棗は素直にそれを履くと、黒子に問いかけた。
「黒子くん…さっきの言葉って…」
棗が最後まで言う前に、黒子がそれを遮った。
「本気です」
そして、真剣な表情で棗に向き直った。
「棗さんは…」
「私も黒子くんのこと、好きだよ」
そのとき、ひときわ大きな花火が上がった。
「綺麗…」
棗がつぶやくと、黒子はその声に答えた。
「そうですね…でも、花火は一瞬しか闇を照らさない」
黒子は続けた。
「僕は、一瞬なんかじゃなくて、ずっと貴方だけの光でありたい」
そう言って、黒子は棗を抱き寄せた。
「うん…約束だよ?」
棗が言うと、黒子は微笑んだ。
「はい」
二人の影が静かに重なった。
花火の音は、まだ鳴り響いていた。