第1章 【黒子のバスケ】夏色花火
黒子の言葉に、棗は戸惑ったように首をかしげた。
「どうしてって聞かれてもうまく答えられないけど…」
棗はそこで言葉を切ってから、考えるように視線を宙に彷徨わせた。
「黒子くんがバスケしてるときは輝いて見えるし、かっこいいなって思うから…」
そこで棗は、はっとしたように口をつぐんだ。
(私は何を言ってるの!恥ずかしい…!)
いきなり口を閉ざした棗を、黒子は不思議そうに眺めていた。
そして棗の顔を覗き込むと、微笑みながらこう言った。
「ありがとうございます、棗さん」
どくん
心臓が、大きく動いた気がした。
(…黒子くんの笑った顔を見るのって、初めてかもしれない…)
棗は火照った頬を隠すように、両手で顔を覆った。