第1章 君と僕は許嫁
ただ手を繋いでるだけなのに、なんでこんなにも……こんな恥ずかしくて、でも嬉しいような、気持ちを抱くんだろう
静かに手を離せば、温もりは消えてしまった
お互いに顔を見合わせて、そしてまた繋いだ
指と指を絡めあい、さっきより強く握った
顔に熱がこもって、空いている右手で顔を隠した
すると、は笑って
『照れてる顔、かわいい』
なんて言うから
「男にかわいいって言うんじゃねえよ。お前の方がかわいいだろうが」
って正論を言ってやった
すると、彼女は下を向いてしまって、俺も俺で自分の言葉に今更照れて、何やってんだろう、俺たちは
「じゃあ、また明日……」
『うん……』
の家に着いて、俺たちは繋いでいた手を離した
もう少し繋いでいたいな、なんて台詞は喉の奥にしまった
家に着き、飯を食って、風呂に入って、部屋のベッドに寝転んだ
そして、天井を見上げ、自分の左手を見つめる
そこにあいつはいないはずなのに、もう手は繋いでいないはずなのに
の温もりがそこにあって、くすぐったかった