第10章 一言
「無理して笑うなよ」
『……うん。迷惑かけちゃってごめんね』
「迷惑かけろよ。そんくらい俺が受け止めてやるよ」
『ふふっ。一くんは優しいね』
頬から腕を離し、そしては腕で顔を隠した
隠した顔から涙が流れているのを俺は見逃さなかった
俺はの腕をはがす
ぐしゃぐしゃの顔がそこにあった
そして、唇を重ねた
舌を絡ませ、深く熱いキス
唇を離すとは顔を真っ赤にして俺を見上げる
「顔真っ赤」と笑って言えば「一くんのせいでしょ!!」と以前のようなやり取りをした
「じゃあ、また来るわ」
『うん。一くん、ありがとうね』
「おう」
手を振って俺は病室を後にした
家に帰って、飯を食って、風呂に入って、部屋に戻る
ベッドに寝転がり、スマホを開く
からLINE通知が来ていた
内容は至って簡単だった
たった一言
"別れよう"