第9章 赤の他人じゃない
"さんの脚は車との間に挟まれ、救助する際やむなく切断されたとのことです"
担任の言葉を思い出した
脚……切断したって本当なんだな
今までは実感がなかった
でも今は、それを自分の目で見ている
触れていいのかわからなくて、伸ばされた手は空を切る
鼻の奥がツンとした
頬が濡れた
男が泣くなんてかっこ悪いな
でも、今だけは許してくれ
お前が目を覚ました時は、笑ってやるから
笑っておかえりって、心配掛けやがってって言ってやっから
だから、今だけは……
ひとしきり泣いた後、俺は袖で涙を拭いた
の顔を覗き込み、頭を撫でる
「また来る」
そう言って、俺は病室を後にした