第8章 無力少年は立ち上がる
時計を見れば、部活は既に始まっていて
俺はその場を後にした
先ほどまでやる気なんてなかったくせに
今は俄然部活がやりたくてしかたがない
もし、うずくまってうじうじしている俺をあいつが見たらきっとこう言うに違いない
『一くんなら大丈夫!頑張って』
頑張れ、なんて言葉は好きじゃなかった
でも、あいつが言うのは嫌いじゃなかった
本当に頑張れた
だから今も俺は頑張れる
体育館の扉を開ける
驚いた顔がいくつも見えた
だけど、及川だけがすべてをわかったかのような笑顔で
「岩ちゃんはそういう男だよね」
と言った
「代表決定戦まで時間がねえんだ。練習するぞ」
「わかってるよ」
が目を覚ますまで、あと--日