第4章 はじめてのデート
鏡の前に立ち、身だしなみを整える……なんてことはしない
クローゼットから適当に服を引っ張り出す
私服と言ってもそんなに持っていない
及川と違って俺はファッションとか興味ないから、いつも適当に買ってしまう
黒のパンツに白のトリッキーロンTを着る
シンプルすぎるかとも思ったが、気合入れすぎてもだめな気もする
それに、Simple is the bestってよく言うし、大丈夫だろ
カバンを肩から下げ、家を出た
昨日の夜、にデートをしようと言われた
その誘いを受け入れ、俺は待ち合わせの場所に向かう
待ち合わせ場所に着き、時計を見る
時間は10時50分
11時に待ち合わせだから、ちょうどいい時間だ
スマホをいじりながら、が来るのを待つ
5分くらい待っただろうか
らしき人物が走ってくるのが見えた
『ごめんね、遅れちゃった』
「遅れてねえよ。大丈夫だ」
少し乱れた息を整えるの姿は、なんかかわいかった
いつも制服姿しかみていないからだろう
彼女の私服はとても新鮮で、雰囲気も違った
女って服ひとつでこんなに変わるもんなのか?
平常を保つのが大変だったが、どうやらばれていないらしい
安堵の息を小さくこぼした