第3章 涙の決意
「勝って全国に行きたかった……」
『うん』
「っ、副部長とかそんなんいらねぇ。俺は、まだ先輩たちと一緒にバレーがしたいんだよっ……」
『うん』
「まだ、教わりたいことたくさんあったのに……」
堰を切ったように俺の涙はあふれ続ける
の制服にシミがついた
だけど、彼女はそれを気にする素振りも見せずに
俺を抱きしめ続ける
「……強くなりてえ。他の誰よりも……」
中学時代からずっとずっとその背中を追い続けていた
追いつきたくて、追い越したくて、でも駄目だった
追いつくことすら許されなかった
「牛島に……勝ちてえ」
俺は体を離し、濡れた瞳でを見つめる
彼女は笑っていて、大丈夫だよと言っているような気がした
「次は絶対に負けねえ」
『うん』
何も言わずに俺の弱音を受け止めてくれる
そんな彼女の優しさに俺は救われた
帰り道、2人手を繋ぎながら静かな時間が流れる
泣いたせいか、気分がすっきりしている
泣いたのなんて、中学3年以来だな、なんてどうでもいいことを考えていると、に名を呼ばれた
彼女を見れば、どこか茶目っ気を含んだ笑顔で
『明日、デートしよっか』
と言われた