第3章 涙の決意
「あ……、悪い」
彼女のもとに駆けつける
いつから外で待っていてくれたのだろう
彼女の体は少し冷たかった
『さっきね、花巻君から聞いちゃった。試合のことと副部長になったこと』
「……おう」
思った以上に小さな声だった
は俺の手を握った
そして、俺の顔をみて笑顔で
『お疲れ様』
たった一言
たった一言なのに、
頑張っただとか、泣いてもいいんだよ、とか言われている気がして
を自分の腕の中に閉じ込めた
『い、岩泉君?』
「……悪い。もう少し、このままでいてもいいか?」
ぎゅっと、力強く抱きしめれば、彼女もまた抱きしめてくれる
背中に回る腕はとても温かく優しかった
それ触れた瞬間、俺の目から涙があふれた
悔し涙が、今、ここで、零れ落ちた
「……勝ちたかった」
気づいたら俺はに弱音を吐いていた
こんな格好悪いところ、好きな奴に見られたくなかったのに
でも、一度吐き出した本音は、止まることなく俺の口から勝手に飛び出していく