第19章 いじめ
しばらく泣いて、落ち着きを取り戻した
時刻は既に1限を回っていた
今更教室に戻って授業する気にもなれなくて
二人で、鍵のかかった部屋で駄弁っていた
「、やっぱり俺は話すべきだと思う。いじめられていること」
『……』
「これ以上お前が苦しむの見たくない。大丈夫だよ、俺に本音が言えたんだから、岩泉にだって両親にだって言える」
『……うん』
「大丈夫、誰もお前を責めたりしないよ」
俺は何度も「大丈夫、大丈夫だよ」と繰り返した
そのたびに彼女も「うん、うん」と頷いてくれる
1限終了のチャイムが鳴った
正直、教室には戻りたくない
「……保健室、行くか?」
『ううん、平気。大丈夫だよ』
「ふ、そうか」
『うん』
下ろしていた腰を持ち上げ、車椅子を押す
『花巻君』
「なに?」
『ありがとうね』
そう言って笑った顔は、いつもの笑顔で
俺も笑っての髪の毛をぐしゃぐしゃにした
「もー、やめてよ!」「ははは、悪いな」「笑い事じゃない」
2人笑いながら、教室に向かった
きっと、は教室に入るのが怖い筈だ
でも、大切なことは立ち向かうこと
強くなくたっていいんだ
人間なんてみんな弱いんだから
弱いからこそ、人は自分の上にあるモノを目指している
それは少なからず、自分の勇気となる
俺はそう思ってる