第1章 素直になれなくて 忍足謙也
翌日
「うぎゃーーー!寝坊したぁ!!」
「もう、ことのが悪いんだからね、お母さんちゃんと起こしたんだから!」
「うぇーん、行ってきます!!」
「気をつけるのよ!」
侑君との会話を終えたあの後、謙也の事考えとったんやけど…気ぃついたら寝ちゃってん!朝練遅れてまう!あ、ちなみにうちテニス部のマネしてます!
扉を開けて、急ごう思っとったら…
「謙也…あんた何でここに」
「…たまたま通っただけや……お前、こっから走ってくつもりか?」
「しょ、しょうがないやん!…あ、あんたこそ朝練遅れんで?」
「……このままやったら遅刻や…それが嫌なら…後ろ乗せてもええで?」
そう言う謙也の顔見たら…めっちゃニヤニヤしてんねんで!?どーせ後から奢れとか言うに決まってるやんか…なんて色々思っとったら急に
「あーもー!何してんねん!ほんまに遅刻するやんか!」
グイッと手を掴み、後ろに乗せられる。
「わっ、な、何すんねん!痛いやんか!!」
「おう、すまん…じゃ、飛ばすでぇ、しっかり掴まっときぃ!」
そう、全力で漕ぎ出す謙也…その横顔が凛々しくてカッコ良くて…。
なんや、胸がギューってなる。
謙也の自転車の後ろ…誰にも渡したない…。
これが…恋なん…?