第2章 35円と100万ドル
生命の危険を伴った、奇妙な体験があったものの、日常はつつがなくすすむ。
一人暮らしの僕は、今晩と明日の朝食の買い出しに、スーパーに寄ってから帰路についた。
地方都市の住宅街で、エコバックを二つ抱えた僕は、立ち尽くしていた。
先ほどの大正娘さんが、家の前で待ち構えていたのだ。
某国民的(以下略)、スカウターが「ピピピッ…チーンッ♪」と音を立てる。
「あんたの現金価値35円か…… ハッ! ゴミね!ゴミ発見なのよっ!!」
あ、弁慶さんより1円多い♪
後で聞いたが、この機械、「スカウター」では無く「レジスター」と言うらしい。
自宅前で、大正時代からタイムスリップして来た様な格好の美少女に不躾に言われた。
思わず特売の「卵1パック65円」入りのエコバックを落とすところだった。
他の食材が重くてかさばるので、割れやすい卵は別に入れておいたのだ……って、問題はソコではないっ!!
「僕は、特売の卵1パック以下ですかっっ!?」